『囚われの王女と魔術師の娘 – 黒鳥伝』のレビュー

バレエ『白鳥の湖』を下敷きにしたファンタジーです。

集めた女性達に昼間白鳥に変身する呪いをかけている魔術師ロットバルト。その娘であるオディールは父親に認められることを目標に魔術の研鑽に励む日々を送っていますが、白鳥娘達の一人である気高いオデットと言葉を交わす内に崇拝する父の姿に疑問を抱いていきますーー。

バレエの中では情熱的なピルエットを見せつけ、自信にあふれた艶やかな悪女キャラを印象づけるオディールですが、本作では愛する父親に単なる便利な召使い扱いしかしてもらえず苦悩する真面目な少女として描かれています。善悪の判断もきちんとしたものを持っていて、悩んだ上に自分自身の生き方を選択し自立していきます。

そういった内容なので、読後は少しヤングアダルトっぽい雰囲気(実際の内容は大人向け)だったな、と感じました。
最後はもちろん大団円、本家の悲劇は回避され「なんであんな悲しいラストなの?ダメだよハッピーエンドじゃなくちゃ!」と思うであろう世界中の女の子達の溜飲を下げる内容となっています。

本家とは違う部分はたくさんあるのですが先ずは主人公がオディールであり普通の(魔術は使えるけど)善良な女の子であること。
次は王子の母親がめっちゃ悪女であること。この凶悪な女王サマのお陰でジークフリート王子が間抜けなお坊ちゃんにしか見えないという…。全体を見渡すと王子様サイドのあれこれは少々バランスが悪い気がしましたが、各登場人物それぞれを立体的にする工夫がなされていて読者を引きつける展開になっていました。